パーソナリティ障害という見方③
こんにちは。
突然ですがあなたは疑ぐり深い人でしょうか?
人を信じるのが怖くて生きづらさを感じていないでしょうか?
もしこの質問にイエスと答える方がいたら、今回の知識がやくに立つかもしれません。
妄想性パーソナリティ障害
それではさっそく、どのような障害なのか見てみましょう。
パーソナリティ障害って何?という方はこちらからどうぞ。
>>パーソナリティ障害という見方① - きのしたの心理的追想録
妄想性パーソナリティ障害チェック
ではここで、あなたが妄想性パーソナリティ障害にあてはまるかどうかチェックしてみましょう。
妄想性パーソナリティ障害
他人の動機を悪意のあるものと解釈するといった、広範な不信と疑い深さが成人期早期までにはじまり、種々の状況で明らかになる。
以下のうち4つ(またはそれ以上)によって示される。
(1) 十分な根拠もないのに、他人が自分を利用する、危害を加える、またはだますという疑いをもつ。
(2) 友人または仲間の誠実さや信頼を不当に疑い、それに心を奪われている。
(3) 情報が自分に不利に用いられるという根拠のない恐れのために、他人に秘密を打ち明けたがらない。
(4) 悪意のない言葉や出来事の中に、自分をけなす、または脅す意味が隠されていると読む。
(5) 恨みを抱き続ける。つまり、侮辱されたこと、傷つけられたこと、または軽蔑されたことを許さない。
(6) 自分の性格または評判に対して他人にはわからないような攻撃を感じ取り、すぐに怒って反応する、または逆襲する。
(7) 配偶者または性的伴侶の貞節に対して、繰り返し道理に合わない疑念をもつ。
『パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか』(岡田尊司 PHP新書)
※以下この本を「参考文献*」と書きます。
いかがでしたか?
4つ以上当てはまる項目があった場合、あなたは妄想性パーソナリティ障害かもしれません。
デメリット
妄想性パーソナリティ障害のデメリットは、なんといっても他人を信用できないことです。
現代社会において常に他人を疑いながら生きるのは想像を絶するほど生きづらいものです。
他人と親密な関係を築くことが苦手です。
人間関係には大別して、仕事の関係、友人の関係、愛の関係の3つがあるとはアドラーのいったことですが、
筆者の経験上、妄想性パーソナリティ障害の人はこのすべてで苦痛を感じ、特に友人の関係と愛の関係はとても不安定で苦しいものとなるでしょう。
参考文献*によると
このパーソナリティの人は、孤独で傷つきやすく、優しさや愛情を示す者に対しても、最初はとても警戒的で、心を開くのに臆病である。
という特徴を持ちます。
しかし、一度心を開くとかなりの依存心をもってしまうのもこの障害の特徴のようです。
ささいな好意を示されたことから恋愛妄想が膨らみ、執拗な求愛に出ることもあります。
まとめると、他人の内面にあるものを極端に恐れ、恐れるあまり他人と健全な関係が結べないというのがこの障害です。
メリット
例によってパーソナリティ障害にはメリットが伴います。
このタイプの人は常に人を疑い、周囲の顔を伺うことで生き抜いてきました。
その結果、他者の感情を鋭敏に汲み取る能力に長けていることがあります。
この能力を活かして訓練すれば、周囲に対する気配り能力に長けた人間になることができます。
どこで見かけたか忘れてしまいましたが、メンタリストのDaiGoさんは妄想的な傾向を持つ人を指して「生まれながらのメンタリスト」と表現していました。それは上のような能力を指してのことでしょう。
どのように克服するか
どのように克服していくかに関しては2つの提案があります。
ここでは僕自身にとって役に立った考え方を書きます。
僕が行ったことは、
・周囲に対する気配りをしてみる
・傷つくことを覚悟して他人を信用してみる
の2つです。
この2つは僕にとってすごく苦手なことでしたので、すごく時間がかかりました。
すぐに実行するのは無理だという人もいるかもしれません。すくなくとも5年前の僕なら無理でした。その場合は無理しないでください。
では、すぐに実行できる方からいきましょう。
周囲に対する気配りの方です。これは実行すればするほど他人との関係はよくなります。
そして僕は最近まで気づけずにいたんですが、気配り能力は訓練で磨けます。
だから訓練すればするほど、周囲とうまくいくようになるでしょう。
メリットのところに書いたように、妄想性パーソナリティ障害の人は他人のもつ感情は鋭敏に感じられるので、きっとできるようになります。
気配りというのは曖昧でこれをすれば良いというガイドラインもありません。だからこそ経験がものをいう側面があります。常に考え続けることが大切だと思います。
そしてもう一方。こちらは難しいですが、その分効果絶大でした。
傷つくことを覚悟して他人を信用してみるの方です。これは僕には難しかった。
だって何度も裏切られた経験があるからこそこんな障害になったんですから。怖くて仕方ありませんでした。
しかし冷静に考えてみると僕は何を恐れていたのか?
実は僕が恐れていたのは裏切られることそのものではなく裏切られて傷つくことだったということに気づきました。
そして、心の傷であってもたいていの傷は治ります。
人に裏切られて最悪だぁと思ったら思いっきり悲しめばいいんです。
悲しむことは悪いことじゃありません。
みなさん、ディズニー映画(ピクサーかな?)の『インサイドヘッド』という作品はご存知でしょうか?
作中に出てくるなにをやってもダメダメな悲しみちゃんは、落ち込んだ人がいたときに思い切り悲しませることで結果的にその人を元気にするという喜びちゃんにすらできないことをやってのけました。
それと同じです。悲しみには浄化作用があります。
この悲しむという行為で復活できることを信じて、他人を信用してみるのはいかがでしょう?
僕はこの考え方を持つようになってからだいぶ人間関係が楽になりました。
さて、僕が書ける克服法はこのあたりです。いかがでしたでしょう。
すぐに実行できなくても、時間かければ少しずつできるようになりました。
最後に
もっと克服の方法が知りたい方は、
『パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか』(岡田尊司 PHP新書)
を見てみるとより詳しく書いてあります。
僕もまだまだ書きたいことがたくさんあるのですが、あまり記事が長くなると読みにくいのでこの辺りにしておきます。
この本はいい本ですので、もしやと思った方は持っておくといつか役にたつかもしれません。
それでは、さようなら。次回は強迫性パーソナリティ障害です。