インナーマザー ~あなたを責めつづける心の中の「お母さん」~

 

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今回紹介しようと思う本は、

 

『インナーマザー 〜あなたを責めつづける心の中の「お母さん」〜』(齋藤学)

 

です。

 

この本が取り扱ってる最大のテーマは、題名の通り

 

心の中の母

 

です。

 

一見なにが問題なのかわからないと思いますが、ときにはとんでもなく苦しい状況を生んでしまうこともあるのです。

 

それでは、心の中の母って何だろう? それの何が問題なの?

 

順番に見ていきましょう!

 

 

 

1.インナーマザーとはなにか

 

お母さんはという存在は小さい自分を守ってくれる存在であり、

 

危険を回避するために躾をしてくれる存在でもあります。

 

大抵の人にとっては温かくて大切な存在でしょう。

 

しかし、中には大人になってからこういう苦しみを持つ人もいます。

 

「自分が失敗をしでかしたりうまくできないことがあると、心の中の母に強く非難される」

 

かつて僕もそうでした。

 

なんでこんなこともできないの!

 

ちゃんとしなさい!

 

大人になってからもインナーマザーは僕たちを休ませてはくれません。

 

常に完璧を要求してきます。

 

もし思い当たる、もしくは意識してなかったけどいわれてみれば心の中にいる、という方もなかにはいらっしゃるんじゃないでしょうか。

 

ここで、心の中のお母さんとインナーマザーという単語は微妙に意味が違うので注意してください。

 

心の中のお母さん → 悪いものじゃない

インナーマザー → 悪いもの

 

というニュアンスを感じていただけたらOKです。

 

多くの人にとっては心の中の母はそこまで自分を責めてくる存在ではないのです。

 

2.インナーマザーによる苦しみ

 

この本にはインナーマザーによる苦しみが次のように紹介されています。

 

“インナーマザーは、自分の無能、怠惰、醜さを責め、いっときも心を休ませてはくれません。

 

これに取り憑かれた娘は、「仕事人間」になるか「何もしない完璧主義者」になるか、

 

さもなければ「痩せた体を追求する拒食・過食症者」や「容貌にこだわる醜貌恐怖者」になります。”

 

この文では具体例としてある女性について取り扱っていたので娘と書いてありますが、息子の場合でも状況はかなり似通っています。

 

3.なぜインナーマザーが生まれるのか

インナーマザーはどのようにして生まれるのでしょうか?

 

そもそも心の中のお母さんというものは本来誰の中にもいるでしょう。

 

ときにはあなたが迷っているときに励ましてくれるかもしれません。

 

問題はそのお母さんが自分を責めてくるインナーマザーになってしまったときです。

 

ことあるごとにあなたを責め、ひどい場合は人生をとても生きづらいものにしてしまいます。

 

インナーマザーに苦しんでいる状態は母が望むような自分を演じなければというコントロールを受けている状態です。

 

これは母によるマインドコントロールに他ならないのです。

 

このようなコントロールを大人になっても受けてしまう理由は、

 

“自分の存在をまるごと認めてくれるような母イメージ(これを「安全な母」といいます)”

 

ができていないからです。

 

4.ヒロアカに見るインナーマザーの克服

 

少し僕の趣味が入ってしまいますが、みなさん『僕らのヒーローアカデミア』というアニメをご存知でしょうか? (知らない方にもちゃんと説明します!)

 

このアニメの僕が大好きなシーンがあります。

 

とても良い題材ですので、知らねーよ!という方も少しだけお付き合いください。

 

それは、2人のキャラクター轟焦凍(とどろきしょうと)と緑谷出久(みどりやいずく)が戦うシーンです。

 

このアニメではみんながヒーローとなることを目指して学校で色々な訓練を受けます。

 

そしてこれがヒロアカの最大の特徴ですが、キャラクターたちは個性と呼ばれる独自の能力を持っています。

 

この世界ではほとんどの人が何らかの個性を持っているのです。

 

轟というキャラクターは厳格な父のもとに生まれ、父の炎の力と、母の氷の力を併せ持つ、かなり強力な個性のキャラクターです。

 

しかし、轟は対人戦において、決して父の炎の力を使おうとしません。

 

なぜなら、轟の父は父自身がトップヒーローになれなかった劣等感から、息子をトップヒーローにするため幼少期より虐待に近い厳しい教育を施します。それゆえ父を激しく憎んでいるからです。

 

ここで、轟の心の中に父親がいることが分かります。インナーファザーとでもいいましょうか。

 

反発した轟は母の氷の力のみでトップヒーローになろうとし、実際クラス内ではトップです。

 

が、主人公の緑谷との対戦(運動会での模擬戦)において想像以上の苦戦を強いられます。

 

轟は炎の力を使えば勝てるけど、頑固に力を使おうとしません。

 

その時、主人公の緑谷はそんな轟の態度に怒り出します。

 

「全力でやってんだ、みんな。全力も出さないで一番になって(父を)完全否定なんて!」

 

そして、緑谷は轟の炎の力についてこう言及します。

 

「君の、力じゃないか!」

 

そして、この緑谷の言葉で、轟は過去に、母からかけられた言葉を思い出します。

 

その言葉とは、

 

「なりたい自分に、なっていいんだよ」

 

その言葉を思い出した轟は、夢中になって全力を出します。つまり、とうとう炎の力を父の力としてではなく、自分の力として受け入れたのです。

 

最終的に、轟は勝利します。

 

5.なにが轟を成長させたのか

ここで見ておきたいのは、轟は、

 

どんな自分になっても母は自分を肯定してくれる

 

というメッセージを受け取ったのです。

 

だからこそ、憎しみの対象である父の力を受け入れることができたのです。

 

6.インナーマザーの克服

インナーマザーの克服過程もこれと似ています。

 

つまり、ありのままの自分もしくはなりたい自分は誰にも否定されるべきものではない、ということを知ればよいのです。

 

多くの家庭ではこのメッセージは母から子へと伝えられるようです。

 

僕の友人は母親から、「たとえ世界中がおまえを指名手配しても、お母さんはおまえの味方だ」といってもらえたそうです。

 

このようなメッセージによって、子供はなりたい自分になっていいんだという自己肯定感を手に入れます。

 

しかし、一部の未成熟な母親は、子供がどうなりたいかではなく自分がどういう子供になってほしいかという価値観を押し付けてしまいます。

 

そうなると、子供は自己否定感を抱くようになり、生きづらさを抱えてしまうのです。

 

ここに問題があります。ですので、繰り返しになりますがインナーマザーを克服するためには、

 

 ありのままの自分もしくはなりたい自分は誰にも否定されるべきものではない

 

ということを意識すればよいのです。

 

たまたまあなたのお母さんは、このことを教えてくれなかっただけです。

 

7.最後に

いかがでしたでしょうか。

 

知らず知らずのうちに心の中で誰かに批判されていると感じている人は、このインナーマザーに支配されているのかもしれません。

 

本の方には、もっと詳しい考察や、事例がたくさん載っています。

 

もしや、と感じた方にはぜひ一読をおすすめします。

 

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!